永久歯のない乳歯は長持ちする?|日野市高幡不動駅前の矯正歯科

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永久歯のない乳歯は長持ちする?

乳歯の下には永久歯が控えていて、生え変わりの時期になると永久歯が生えてきて乳歯の根っこを溶かして抜け落ちるのが普通です。しかしたまに乳歯の下に永久歯がない場合があります。先天欠如といってあるべき永久歯がないのです。 日本小児歯科学会の最近の調査では上下とも2番目の側切歯と5番目の第2小臼歯の欠如が多くおよそ10%のひとに見られたと報告されています。決してまれな現象ではありません。前歯の永久歯が1本足りない場合、うまく隙間が詰まって本人は気が付かない場合もあります。しかし5番目の第二乳臼歯が本来小学高学年頃生え変わるときには前後は永久歯になっていて、自然に間が詰まってくることはありません。下に5番目の永久歯=第2小臼歯がなければ根っこの吸収は進まず第2乳臼歯はそのままです。そのままずっと年をとっても抜けなければ問題はないのですがはたしてそうでしょうか、乳歯なので永久には持たないと思うのですが。特に下の第2乳臼歯の大きさはおよそ10mmと大きく、成人になってから抜けると矯正治療で間を詰めることは困難です。そこで下の第2小臼歯先欠の第2乳臼歯の運命について論文調査してみました。
医学論文検索では米国医学図書館のデータベースMedlineがよく使われます。なかでもPubMedはフリーですのでよく使います。検索語は英語ですが、乳歯晩期残存はJST科学技術用語日英対訳辞書では、persistence of primary tooth, prolonged retention of deciduous teeth, persistence of milk tooth でした。(JST:国立研究開発法人 科学技術振興機構)
ここでは1番目のpersistence of primary tooth に矯正=orthodontics を加えてPubMed検索を行い表題に近い論文3つを調査しました。いずれもEJO ( European Journal of Orthodontics ) です。
①Bjerklin K, Bennett J 2000 The long-term survival of lower second primary molars in subjects with agenesis of the premolars European Journal of Orthodontics 22: 245-255
41名(男性13名女性28名)下顎5番(第2小臼歯)の1ないし2歯先欠でE(第2乳臼歯)残存、研究開始時年齢11-12歳、終了時平均20歳6カ月。59の乳歯(E)のうち2歯自然脱落、5歯抜歯(計7歯=11.9%を喪失)。19-20歳時点で55%が沈下乳歯(周りの歯が生えるのに置いてきぼりになりあたかも沈んだように見える、上とは咬まなくなる)。
②Bjerklin K, Al-Najiar M et al. 2008 Agenesis of mandibular second premolars with retained primary molars. A longitudinal radiographic study of 99 subjects from 12 years og age to adulthood European Journal of Orthodontics 30: 254-261
研究目的:下顎5番先欠E残存の状態を12-13歳から成人まで観察すること。
99名(男性37名女性62名)149の5番先欠。終了時平均年齢24歳7カ月。
99名中7名でE喪失(7.1%):喪失理由は歯根吸収、沈下、齲蝕。
③Ith-hansen K, Kjaer I 2000 Persistence of deciduous molars in subjects with agenesis of second premolars European Journal of Orthodontics 22: 239-243
研究目的:晩期残存乳臼歯が若年から20代後半まででどうなるか観察する。
開始:1982-83年 25名35歯の残存乳臼歯  終了:1997年18名(7名は追跡できなかった)26歯の残存乳臼歯、20/26歯(76.9%)で歯根吸収進行なし、歯根吸収の進んだ6歯のうち3歯は抜歯され3歯はかなり吸収が進んでいた。3/26歯(11.5%)は沈下が進んでいた。

先述のJSTによる第2第3の英語でも検索しましたが似たような結果で、表題に一致する論文は上記①②③以外には得られませんでした。

まとめ:12歳ころから成人20代後半まで12年ほど観察した結果では、下顎で後継永久歯5番の先欠している第2乳臼歯は、その約10%が失われるが多く(90%)は存在する。存在するが咬合しない沈下乳歯になるあるいは沈下の進むものがある(場合によっては半分以上)。
考察:上記のデータを踏まえて若年のうちに残存乳臼歯を抜歯して矯正治療するべきか残すべきか患者さんとともに考えていかなければならないでしょう。残した場合のリスクの確率がある程度示されたと思います。ただし、晩期残存下顎第2乳臼歯が何歳まで使えるのか、については論文=データがありません。すなわち現時点ではわかりません。今後さらに長期追跡した研究論文が発表されることに期待します。
(たかはた矯正歯科での勉強会 2018/3/27)

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